エアコン清掃業者のピンチ
ノックもせずにトイレに入ってきたエアコン清掃業者の学生アルバイト。彼の年齢では知らないかもしれませんが、これが和式なら大惨劇です。
私の実家は子どもの頃、和式だったために、鍵をかけずに入っていた近所、親戚のオバチャンの無防備な姿を目撃させられたものです。
「やだー!」などと振り向いて笑われると、子ども心にも逆ギレしました。
「ちゃんと鍵くらい閉めといてよ!」
あ、鍵を閉めなかった自分が悪いのでしょうか。
しかし、どちらが悪いかといえば、初めてやってきた他人の家のトイレでノックしないほうじゃないの?
そもそもトイレを借りる前に、「すいません、トイレを……」と家主にちょっと中腰で緊急の危機感を訴えながら聞くのが、おしゃれなマナーじゃないの?
気分はさっぱりしないものの、ともかく大腸だけはさっぱりさせてトイレを出る私。
そこに新たな事件が待ち受けているとも知らず。
トイレを出たそのとき。ガタン!と奥から大きな音がしたのです。
「あっ!」
続いて作業員の声。
あわてて部屋に入ると、作業員はなにごともなかったかのように、平静を装ってエアコンの清掃作業を続けていました。
しかし、彼の背中には、なにかまずいことをやってしまったかのような緊張感が張りついています。
どうしたんだ?なにをやったんだ?
横で作業を見守っているアルバイトを見ます。お前は知ってるはずだろ?
アルバイトと目が合いました。アルバイトの額から汗がしたたってきました。すると……。